忍士道(四象)

四象(ししょう)は、本来、春夏秋冬の季節や動静・陰陽の循環を象徴する東洋思想の概念です。忍士道においては、この四象を再構築し、四つの行動指針や戦略的フレームワークとして活用しています。

忍士道の四象(林風雷陰)

忍士団の四象は、「林風雷陰(りんぷうらいいん)」という4つの局面を象徴する言葉で表現される、行動指針であり、戦略的フレームワークでもあります。
この四象は、兵法書『孫子』の教えを基に再構築されたものです。『孫子』には、武田信玄の軍旗で有名な「風林火山」だけでなく、「陰(かげ)の如く、雷霆(らいてい)の如く」という言葉も記されています。忍士道では、これらの言葉を組み直し、四つの局面からなる戦略体系として「林風雷陰」を体系化しました。この四象は、現代社会における状況判断や意思決定に役立つ行動指針を示します。

また、現代ビジネスや防災防犯における思考の枠組みの四像として、以下のようなものを採用しています。

  • PDCAサイクル: 「計画→実行→評価→改善」という4段階のサイクルで、業務改善を促すフレームワークです。
  • OODAループ: 「観察→情勢判断→意思決定→行動」という4段階のサイクルで、迅速な意思決定を支援するフレームワークです。

行動指針としての四像

★林:「静かなること林の如く」

動き出す前に、林のように静かに、落ち着いて状況を観察し、深く洞察することの重要性を示します。

  • 意味: 表面的な情報に惑わされず、本質を見抜くための冷静な洞察力を養います。
  • 実践: 心を「水鏡」のように澄ませる修練に通じます。これにより、周囲の状況や他者の心理を的確に察知し、感応する力を高めることができます。
★風:「疾(はや)きこと風の如く」

状況を正確に把握した後は、風のように素早く、効率的に行動することの原則です。

  • 意味: 躊躇なく、迅速に行動に移る俊敏性を示します。
  • 実践: 変化に対応するための「風の形」の修練に通じ、無駄のない、効率的かつ迅速な行動を可能にします。
★雷:「動くこと雷の如し」

決断を下し、行動に移す際は、雷のように衝撃的な速さと勢いで動き、相手を圧倒します。

  • 意味: 決定的な場面で一気に攻勢をかけ、心理的な優位を築くことを意味します。
  • 実践: 心理戦や撹乱によって相手の隙を作り出し、圧倒的な勢いで状況をコントロールします。
★陰:「知り難(がた)きこと陰の如く

秘密裏に行動し、その存在や意図を知られることなく、結果を導くことを意味します。

  • 意味: 目的を達成するために、目立たず、水面下で根回しや調整を行うことの重要性を示します。
  • 実践: 争いを回避し、平和的な解決を陰ながら導く、現代における「ステルス」な問題解決能力として活用できます。

フレームワークとしての四像

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのプロセスを繰り返すことで、業務を継続的に改善していくためのフレームワークです。

  • Plan(計画): 現状の課題を分析し、目標を設定します。目標は客観的に評価できるよう、可能な限り数値化して行動計画を立てます。
  • Do(実行): 計画に基づき、業務を実行します。
  • Check(評価): 実行結果を検証し、目標達成度やその要因を評価します。
  • Action(改善): 評価結果をもとに、計画を修正・調整し、次のサイクルにつなげます。
OODAループ

OODAループは、「Observe(観察)」「Orient(状況判断)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」という4段階のサイクルで、変化の激しい状況下でも迅速な意思決定を支援するフレームワークです。

  • Observe(観察): 現状や外部環境の変化、競合の動きなどを、先入観にとらわれず客観的に情報収集します。
  • Orient(状況判断): 観察で得られた情報を整理し、自身の知識や経験などを踏まえて、状況を判断・方向づけします。
  • Decide(意思決定): 状況判断の結果に基づき、最も有効と思われる行動を迅速に決定します。
  • Act(実行): 決定した内容を即座に実行します。