遁術(とんじゅつ)

遁術とは

忍術のうち、敵から隠れたり逃げたりするための術です。隠形術とも言います。
江戸時代に成立した忍術書『万川集海』では、「隠形術四箇条」が隠忍の術として記載されています。
フィクション作品では、戦闘で相手を攻撃するために使用される描写がありますが
歴史上の忍術においては遁術は目的のために敵方から身を隠したり、追っ手をかわすための技術です。

五遁の術(ごとんのじゅつ)

数十種類の遁術がありますが五遁とはそのうちの五つで、
木遁、火遁、土遁、金遁、水遁の五種類を言います。

・木遁
主に樹木や草原、木の葉など自然を利用して敵の目を誤魔化す術。
木の葉を利用する「木の葉隠れ」などが有名です。

・火遁
火を利用して敵の目を誤魔化す術。
流派によっては火薬の扱いに長けていた為
火薬を使った火起こしや火矢などで敵を錯乱させていたとされています。

・土遁
地形の起伏や岩石などを利用して敵の目を誤魔化す術。
隠し穴や抜け穴なども利用され、体を鶉の卵の様に丸くし気配を消す「ウズラ隠れ」を用いて
敵から身を潜めていたとされています。

・金遁
金目の物を利用して敵の目を誤魔化す術。
半鐘や鐘の様な金属を使う、又はお金を撒いたり敵兵を買収して油断させ
その隙に逃げるといった術となります。
しかし忍者は貧しい生活をしている者が多かった為、
この術はあまり使われていなかったとも言われています。

・水遁
水を利用して敵の目を誤魔化す術。
水に潜って姿が見えないよう泳ぐ、水中に潜んで全身を隠す
石を水に投げる事で潜ったと見せかけてその隙に逃げる
などの術を用いたとされています。