謎の宮殿『聖天宮』に潜入せよ! 編

【五千頭の龍が昇る聖天宮】

埼玉は坂戸付近の何もない田舎道の国道を走っていると、
ものすごい異国の香りを放つど派手な建物が忽然と姿を現した!

これは何だ?城か?お寺か? 何故ここに? 何の為に・・・
沢山の疑問が浮かび、これは忍士調査隊の赤目としては
黙って通り過ぎることは出来ませぬ!

早速、潜入させて頂きます!

120台は止められるという無料の駐車場に車を止めて、
入口でヒマを持て余しているような初老の男性係から
拝観券(志納金) 大人500円を購入して中に入る。
ちなみに 中学生は250円、小学生以下(大人同伴必要)は無料だ。

今回は忍び装束では無いので、誰にも忍者とは気づかれずに潜入成功!
『いってらっしゃ~い!ごゆっくり~』との声がうしろから響く。

うわ~!けっこう凄い作りで圧倒される! 自分が三国志の登場人物になった気分がする♪

細かい色鮮やかな龍や鳥の彫刻が沢山彫られていてまるで
異国に紛れ込んでしまったようだ!

これは塔のようだが、何の塔なのか? 
鉤縄を使って塔に潜入するには突起が多いので容易そうだぞ!

竣工記念石碑(しゅんこうきねんひ)

入口の右手前付近に『竣工記念碑』という1枚の岩から彫られた聖天宮の由来がある。
文字は全て1枚の石から彫られた浮き彫りだ!
なんて書いてあるのかはわからないが、細かい素晴らしい石工の技術がうかがえる。

ちなみに入口でもらったパンレットによると、
ここは台湾の宮殿らしく
聖天宮せいてんきゅうと読むらしい。 

順路に沿って宮殿の入り口まですすむと・・・

獅子・唐獅子

一石から彫られた一対の獅子が配置されている。
どうやら参拝者に取り憑く邪鬼を門前において取り除く役割りらしい。
陰陽道に基づき、雄は日が昇る【陽側】、雌は【陰側】に配置されていた。

雄は働く役割を象徴として帯にお金を持ち、雌は子供を宿し、子供と一緒にいる。
よく見ると子供は母獅子の鈴と無邪気に戯れている。

さらに入口の左右ををよくみると、物々しい龍の彫刻が彫られた石柱が、
まるで侵入者を威嚇するようにこちらを鋭い眼光で見下ろしていた!

九龍柱(きゅうりゅうちゅう)

台湾の『観音山』で取れる高さ5mもある『観音石』の一本岩から施された三層の深さもある九頭の龍の彫刻。一つの彫刻に九頭の龍を施すのは最高位の神様の威厳を表し、『九』の発音は永久の『久』として縁起のよい数でもあるらしい。
龍の爪の数にも意味があり、五爪を持つ龍は『五爪龍』として最強である。

手には黄金のドラゴンボール?を握っているみたいだ。内側はどうやって彫るんだろう。

いよいよこれから宮殿の建物の中に潜入!

壁際には台湾の神様?のような大きな絵が飾られており、

上を見上げると細かく組み合わされた天井の彫刻に驚く!

八卦天井(はっけてんじょう)

八角形が重なる万物の広がりを表す。そして万物は天門まで続く・・・

こんな天井の隅々にまでも細かく装飾が施されており、
一体いくら位かかったものなのか?想像もつかない・・・
やはりこの建物を作った謎の人物はかなりの資産家だと推測できる!

順路に沿って進むと左側にガラスの壁に囲まれた中央に位置する広い部屋でる
どうやら参拝をしたり、おみくじなどを引く部屋らしい・・・

いつか見たカンフー映画などで、ジャッキー・チェンやジェット・リーなどが、
長い線香みたいなものを持って祈ったり、こんな感じの占いをやっていた記憶がある。

台湾のおみくじは、と書かれた
神杯(シンプエー)というものを転がして行います。

台湾のおみくじの手順
①おみくじを引く前に本殿に向かって合掌をして一礼。
②チャムデュッと呼ばれる番号の書いた棒をよく混ぜてから一本引く。引いた番号をしっかり覚えてから、チャムデュッをチャムタン(筒)に戻します。
③神杯を陽・陽に丸く揃えてから、先ほどの番号を念じながら床に落とす。
④落とした神杯がで揃えば神から許可が得たということで、
おみくじを引くことができる。
しかし、床に落とした神杯が「陰・陰」と揃った場合には許可なし、
ということで初めからの動作を繰り返し。
「陽・陽」と揃った場合には、許可待ちということで、
同じ番号を念じながら再度神杯を落とす。
許可が出たら(陰・陽が揃ったら)引いた番号の引き出しから
おみくじを一枚とりましょう!

ああ、この時ちょうど小銭が無かったので、おみくじは引けず・・・残念。

後ろを振り向くと壁際にはこれまた怖そうな神様が何体か立っている。

門 神(もんしん)

高さ4,5メートルほどある一枚の楠木から彫像された武官神。
鎧をまとい、神様を表す雲と天衣を羽織っている。
扉を閉めると外側を向くらしい。

中央フロアを出ていくと・・・あれ?休憩所

ちょうどいいや、いろいろみて頭を整理したい・・・小休憩!

結構広いな・・・販売機もいろいろあるみたい、楽しみ!

自動販売機には色んなものが売っている!

細かく見てみると、実に多種多様なものが販売されていた。

日本のお茶やジュースをはじめ、
ココナツペースト、マグロふりかけ、おでん、台湾のお茶っ葉、落花生、豆乳
漢方薬、燕の巣ドリンク、台湾製ピータン、ピンバッチ、オリジナルのしおり
キーホルダー、入浴剤、デザート各種・・・などなど

だいたい200円前後で売られているものが多い。
他にいた年配のお客さんなどは、何種類か買って皆で味見会をしていた。

ちょっとしたお土産にもなるな、こりゃいいぞ! 
燕の巣ドリンクが気になりつつ・・・

休憩室の奥に怪しげな看板発見

その奥にある細く狭い階段を上っていくと・・・


鼓楼【陰 鼓】(ころう・いんこ)

太陽が沈む西側の塔で、陰を表す太鼓がかかげてある。
終わりを示し、『陰』からまた『陽』に転ずる。3時には太鼓が鳴るようだ。

西の塔からみた景色はキレイでした!

『陰』があれば『陽』もあるというので、
太陽が昇る東側には当然・・・陽を示す塔があるみたいだ。

ということで、もうひとつの塔も紹介すると

鐘楼【陽 鐘】(しょうろう・ようしょう)

太陽が昇る東側にあり、始まりを表す。
西側の太鼓とは対照的に大きな鐘がかかげてある

外からみるとちょうど最初に紹介したこの部分になる
            ↓

さあ、これから塔から降り中庭に出て本殿にむかう

本 殿(ほんでん)

九龍綱(きゅうりゅうもう)

正面には一枚の岩から彫られた九頭の龍が圧倒的な存在感でお出迎え。
神様の『威令』と『恩恵』は全てを綱羅する意味がある。

よく見ると龍の口の中と手にはドラゴンゴールみたいな黄金の球がある!

ここで宮殿内を案内しているガイドさんらしきを発見!


本殿まえには何人かのガイドさんらしきがいた!       ※画面の右隅にいる?

勝手に始まるガイドさんの説明を聞いてみる。
要約して更に調べたことをまとめるとこんな感じだ。

①この聖天宮の建て主は台湾人で貿易業で財をなした康國典大法師という人

②40歳半ばにして不治の大病を患い、ご本尊である『三清道祖』にすがり、
奇跡的に一命をとりとめて助かった。

③感謝の念と、何人にもこの神様のご利益にあやかれるお宮を建てたくて、
建設場所を探していたところ、台湾ではなく日本のこの場所に建てよとの
夢のお告げがあった。

④聖天宮の名、佇まいや方向もお告げがあり、
それに従って当時何もなかった日本の雑木林のこの地を一から整備し、
台湾から一流の宮大工を呼び寄せてて、約15年かけて聖天宮を完成させた。

康國典大法師

ご本尊『三清道祖』(さんせいどうそ)

霊寶天尊(れいほうてんそん)  元始天尊(げんしてんそん)   道徳天尊(どうとくてんそん)

台湾の神様の特徴は、見えない神様ではなく形がはっきりしている神なのだそうだ!

太極天井(たいきょくてんじょう)

この天井は台湾の宮大工が一万以上の部品を釘を一本も使わずに
螺旋状に渦を巻きながら組んで造ったという。
全ての始まりであり、宇宙の始まりも表す。そして陰と陽に分かれている。
その鮮やかさには圧巻!

台湾で使う長い線香は、供養のためではなくて『祈願』のためだそうです。

通常参拝はお線香3本を供えて御祈願する 。 料金は300円。
本格祈願は6本のお線香を二つの香炉に供えて祈願し、
神紙を寿金亭と名付けられた建物で焼くそうです。

ご利益のありそうなカラフルなお守りも販売しています

せっかくなので、ガイドさんを捕まえて
色々聞いてみたい!

Q:この聖天宮は龍が多いですが、なぜ龍を祭っているのか?
ガイド:龍は神様の化身です。ここには約五千頭の龍の彫刻があります。
龍単体ではお祀りしませんが、神様を守るために沢山の龍が祀られています。

Q:龍の色に位はありますか?
ガイド:台湾では龍の色で区別はありません。
ここでは特に多いのは青と緑の龍ですね。彩も綺麗だからですかね。

Q:聖天宮は総額いくら位かかって作られていますか?
ガイド:・・・わかりません。沢山かかっているでしょうね?
大きな龍の柱の彫刻だけでも台湾で彫って船でここに運んでいるので、
それだけ考えても相当お金はかけていると思います。

えっ!知らないのかい?ガイドさん!

それは普通みんな聞きたいことだよ!…と言いたい。

Q:今も建設主はご存命なのですか? 又、ここの跡継ぎはいますか?

ガイド:もう主は亡くなっていますが、息子さんが跡継ぎでおります。

Q:息子さんはどんな方ですか? ここに来たりしますか?
ガイド:はい、週に数回ほどお顔を出して業務をこなしたり、
祈祷したりしていきますよ。イベントがあるときにも来たりしますね。
実は…息子さんは3つの顔をもった人です・・・あっ、マズイ。

なになに?一体どんな顔があるのーーー???


ガイド:はぁ、ひとつは宗教法人の代表としてのここの顔
もうひとつは、貿易会社の社長さんだとか。
最後の一つは、私には・・・私には・・・やっぱり言えません。
勘弁してくださいーっ!

そそくさと逃げるように去っていくガイドさん

ふらっと来た別のガイドさんにも聞いてみたが、
皆一様にその話題を振ると気まずそうに誤魔化してその場を去っていく。

中には、わしは普段は老人ホームのお手伝いをしているだけじゃ!
ここにはたまにガイドで来るだけじゃ、何も知らん、知らないじゃーっと
言って震える人もいた。

ええーーっ!気になる! 気になるってー!!
何かある!絶対何かあるぞ~、聖天宮!

そしてキーワードは、もちろん
『3つの顔をもつ男』

まあ、これ以上の深い突っ込みは少々危険と判断して、
今日はこの辺で私も引いておくとしよう…ふう。汗

さっきガイドさんが紹介していた次の部屋を見に行く

客 庁(きゃくちょう)

本殿のすぐ隣にある祈祷をするお客様用の待合室
天井にはここだけで500匹くらいの龍の彫刻が彫られているらしい
重厚なソファーには豪華な貝の装飾が施されていて
そこに座ればまるで台湾セレブの気分!

さあ、これで案内の順路は終わり、
キレイな廊下の天井をみながら宮殿の中を後にする

龍の宮殿の外に出て出口に向かっていくと、端のほうに妙に気になる
プレハブ小屋らしきものがあるのをみつけた。

どうみてもこの建物には不釣り合いで妙だったので、
入口のチケット係りの男性に聞いてみると・・・

どうやら聖天宮はその佇まいから、コスプレイヤーの聖地のひとつであり
電話で予約して料金を支払い許可を得ると、自由に撮影が出来るらしい。

そしてこのプレハブ小屋は、
コスプレイヤーの為に常設した
着替えや休憩ができる貸し切りの部屋に

なるらしいです!

ちなみに、A1~A4 までの 4部屋 があるみたいです。

コスプレイヤーにやさしいお寺ですね!
気になるレイヤーさんは詳細はHPで要確認ですね!笑

太極拳や、各種イベントも開催中!

毎週土曜の朝 7:30~8:30頃までは、自由参加(服装自由)の
『太極拳』もやっているとのこと! ※雨天中止
この壮大な背景をバックに朝日を浴びてやる太極拳は気持ちがよさそう ♪

コスプレ関連のイベントや、その他の各種イベントも定期的にやっているので
気になる人は要チェックですね!

それでは、調査報告!

① 聖天宮は台湾人で貿易業で財を成したお金持ちの康國典大法師が
三清道祖を祈ることによって大病を克服し、そのお礼として日本に建てた道教のお宮。
② 台湾の宮大工が15年かけて造設した鮮やかな五千匹の龍に守られた鮮やかな宮殿。
③ 後を継いだ謎の息子で『3つの顔をもつ男』が代表をつとめている。
④ ガイドスタッフさんはあまり細かいことは知らない人もいる。
⑤ コスプレイヤーの聖地であり、イベントも定期的に行っていて施設も割と充実。


宗教法人 聖天宮(せいてんきゅう)
詳しいHPはこちら→ (seitenkyu.com)

〒350-0209
埼玉県坂戸市塚越51-1
TEL 049-281-1161 FAX 049-283-1110
拝観時間:10時から16時(年中無休:団体割引あり)
駐車場あり:120台(無料)

                    それではこのへんで潜入忍務終了! 
                        by 赤 目

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