いざ!兵糧丸に挑戦!

著 自来也

いざ!兵糧丸に挑戦!

一輪の桜が春風と共に舞い散る爽やかな季節

そんな季節に今宵の忍者達は兵糧丸を作ってみることにしました!

どんな季節でもお腹は空きますからね!

兵糧丸とは
日本の戦国時代から江戸時代にかけて使われていた丸薬状の携帯保存食である。
『万川集海』など忍術書に素材や製法が記載されており、
異称や類似の丸薬として飢渇丸(きかつがん)や水渇丸(すいかつがん)がある。
栄養補給のほか、精神を安定させる作用がある生薬も含んでいた。

※フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋

長々と記載しましたが、要は「栄養たっぷりの携帯食」ということです!

偵察や諜報に出向く忍者にとって、
携帯食は生死を左右する重要な保存食でした。

と、忍者の専用保存食みたいな書き方をしておいてなんですが、
実際はお侍さん達も食していた認知度の高い食べ物だったみたいです…

というわけで、今日はそんな携帯食を作ってみたいと思います!

材料紹介

今回はこちらの三重大学研究センターにて
記載されていた材料を参考に作成させて頂きました。

それでは材料の方を紹介していきたいと思います!

・もち米、うるち米 5分(1.88g) ※右側
どこの家にも置いてある普通の米ですね。
今回は玄米を用いています。

・連肉 1両(37.5g)
ハスの種子。乾物にしたものもありますが、
今回は砂糖漬けしてあるものを使用しました。
種子自体には味はありませんでした

・山薬 1両(37.5g)
山芋などの乾物。
今回は既に粉末状のものを使用。
小麦粉の様な粉っぽさで、味はなし。

・桂心 1両(37.5g)
要はシナモンです。
独特の風味と香りがします。

・ヨクイ仁(ヨクイニン) 1両(37.5g)
はと麦の種子の乾物。
今回は粉末状のものを使用しています。
生食は非推奨なので味見の際はご注意を。

・にんじん 5分(1.88g) ※左側
俗にいう「朝鮮人参」です。
普通に食すとすんごい苦いです。

・氷砂糖 1.5斤(900g)
今回はグラニュー糖を使用しています。
って900g多っ!

その他、水を適量。(混ぜ合わせる際の調整に必要)

以上の素材を適量に分けて使用しました。

いざ!作ろう!

・まずは材料を一通り粉末上にします。

今回はにんじん米、連肉が粉末上になっていなかったので、
すり鉢と棒を使ってひたすらゴリゴリしました。

ミキサーを使えばラクではありますが、
なるべく当時の作り方を真似したかったので、
手動で頑張ってみました!

本当は薬研(やげん:両手を使ってゴリゴリするもの)
があれば良かったのですが、持っている人はおらず…残念…!

       こんなの

   

・次に、材料を順次火にかけて混ぜ合わします。

まずは砂糖と水を適量入れて、
中火にかけてひたすら混ぜます。

その時間約15分程…

どろどろと溶け出して来たら各材料を投入!

全部入れたら
固まらない内にひたすらかき回します!
これが以外と作業だったりします()

   

・最後に、熱いうちに丸めます。

いい感じに混ざってきたら、
火を止めて熱い内に丸めて形を作っていきます。

ひたすら丸めていくわけですが…

まぁ…熱い!とにかく熱い!

     

そしてついに…

      

兵糧丸の完成です~!

      

そして色んな形の兵糧丸が出来上がりました(笑)

       

・完成! そして実食!

丸めた兵糧丸を暫く(5分ぐらい)放置していると、
なかなかな固さのものになりました。

     

     早速固まったものを実食!

    ……

     あ、甘い…!

     

皆の第一声が見事に「甘い!」で統一されていました(笑)

あれだけの砂糖の量を使ったのですから、
甘くなるのも必然とは言えますね…

後はシナモンの香り強さが際立っていて、
ニンジンや他の材料の味はほとんどしない感じでした。

    

今回作成した感じでは、
まず砂糖のザラザラ感が強かったので、砂糖の溶かし方が甘かった事と、
パサパサ感も強かった為、もう少しツナギや水などで補完出来れば、
もっと食べやすい美味しさになるのかなと思いました。

    

・1週間経過

後日談として、作成したものを1週間程、冷蔵と冷凍してどうなるか試してみました。

写真の←が冷蔵、→が冷凍です。
見た目上は冷蔵も冷凍も違いはほぼありませんでした。

味としては、冷蔵と冷凍では特に違いはありませんでしたが、
1週間程経過した事により、作り立てよりもシナモンの香り、味が薄く、
ニンジン等他の素材の風味がより際立つようになりました。

噂では1年はもつそうなのですが…
怖いのでその前に食べきっちゃうと思います(笑)

      

・作成を終えて…

今回使用した材料は、疲労回復やリラックス効果の出る材料が多めでした。
その事から推測するに

常に緊張感に身を置く忍者にとって必要な栄養素が含まれていた材料
を用いて作られていたのではないかと考察します。

しかし、いくつか疑問点があります。

・糖は戦国時代では貴重品だったのでは?
 身分の低い忍者の立場では、糖自体の入手がとても困難だったと考えられます。

・にんじん(朝鮮人参)など一部の食材は日本で入手出来たのか?
 中国等の輸入品として手に入った可能性はありますが、
 やはり忍者の立場では入手は困難だったのではと考えられます。

上記疑問点から、個人の見解ではありますが、
今回作成したような素材の兵糧丸は、

少なくとも戦国時代には作られていなかった(作ることができなかった)

と推測する事が出来るのではと感じました。

余談ですが、
今回紹介した材料は「万川集海」という忍術秘伝書にも記載があります。
しかし、この秘伝書自体は江戸時代初期に作られたものである為、
そもそも戦国時代寄りの材料では無かったのかもしれません…

栄養満点の兵糧丸 (とその残骸…)

ただ、現代でもラムネの様な糖の入った甘い食べ物は、
脳のリフレッシュや疲労回復に使われたりもしています。
頭を凄い使う棋士の人達も甘い物を食べていたりもしているんですよね。

甘い物は疲労回復

という認識はどの時代でもあったのかもしれませんね。

    

以上、兵糧丸の作成レポートでした!にんにん。

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